【マンションほしい人は必読!】 開業医は、新築マンションに3.5割引で住める件について語る。

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こんにちは、shiro-mameshibaです。

 

 

一部の条件に当てはまった場合に限定されますが、実は、開業医は、新築マンションに約3.5割引で住む方法があります。

 

 

今回は、その方法について語ります。

 

(表題は『開業医』としていますが、本当は、高額所得者なら、誰でも使用できる方法です。かなり長い内容ですが、とても重要ですので、力を込めて記事を作成しました!ご覧頂ければ幸いです。)

 

 

新築マンションに3.5割引で住む方法

 

☆この記事のまとめ☆

 ① 開業医(高所得者)は、新築マンションに3.5割引きの住居費で住むができる(建物価格の値下がり額のみ。修繕費積立・管理費などは除く。)。 
 ② 方法は、15年毎に住み替えるだけ。
 ③ この方法は、リタイア前(高所得であるうち)でないと活用できないので注意!

 

 

まず、断っておきますが、今回の方法は、マンションを安く購入する方法ではありませんし、値上がりするマンションを見つける方法でもありません。

 

 

また、医師優遇の隠れた税法などを使用するわけではありません。

 

 

誰でも使用できるスキームですが、高額納税者のほうが、よりお得になる、という方法です。

 

 

具体的な方法

 

 

まず、新築マンションを、住宅ローンを使用して購入し、自分で住みます。

 

 

 

新築でも中古でもよいのですが、できれば新築にしておきましょう(理由は後述)。

 

 

 

 

そして、15年経過したら、そのマンションを売却して、新たなマンションを購入して住み替えます。

 

 

方法は、これだけです。

 

 

マンションを15年で手放す

 

 

なぜ、こんな簡単な方法で、マンションに約3.5割引で住めるのでしょうか。

 

 

 

その解説の前に、まず前提として、一般的に、多くの方は、住宅ローンを利用してマイホームを購入する際には、まず、自分たちが永住する事を念頭に購入することでしょう。

 

 

あわよくば、値上がりしてほしい、など考えることもあるかもしれませんが(笑)、自分たちがずっと住むとなると、その期間、購入した土地建物の値段がどうなろうと、自分たちがいなくなって子供たちに相続するまでは、ほとんど関係なくなります。

 

 

むしろ、サラリーマンであれば、リタイア前に、なんとか返済をぎりぎり終わらせる事で頭がいっぱいになるのが普通です。

 

 

返済途中でマイホームを売却することなど、転勤や、会社をリストラされた場合など、ごくごく特殊な状況のみとお考えのことでしょう。

 

 

 

ましてや、新しいマンションに買い換えることなど、考えたこともない事でしょう。

 

 

 

そのため、マイホーム売却時の税制の取り扱いについては、知識がない方がほとんどかと思われます。

 

 

 

しかし、このマイホームを手放し、買い換える際の税の取り扱いにこそ、今回の節税スキームが隠されています。

 

 

節税スキームの概略

 

まず簡単に、概略だけ先に説明します。

 

 

5,000万円のマンションを購入し、15年後に3,500万円で売却したとします。

 

(これは別に5,000万円でなくてもよいのですが、計算しやすいように5,000万円にしておきます。)

 

 

多くの方は、5,000万円-3,500万円=1,500万円の差額が、15年間でかかった住宅費用と考え、この金額と、賃貸の費用を、比べようとするでしょう。

 

 

 

しかし、これは間違いです

 

 

 

後に詳しく説明するように、値下がりした売却差額1,500万円のうち、570万円(38%、つまり約3.5割)は、税金から返ってくる(免税される)からです。

 

 

(※今回の方法は、マンション本体の値下がり部分のみ安くなる(税金で返ってくる)ことの説明です。修繕積立金、管理費、固定資産税などは安くはなりません。)

 

 

マイホームは損益通算特例がある

 

通常、土地建物等を譲渡して、譲渡損失の金額が生じた場合、原則として、その損失の金額を土地建物等以外の資産の譲渡所得の金額や、他の各種所得の金額と、損益通算することはできません

 

 

つまり、通常の不動産(マイホーム以外の土地・建物)を売買して、損金が出ても、自分の給与などから損失を差し引くことができません

 

 

 

しかし、普段あまり意識されませんが、マイホームとは、『土地建物等以外の資産損益通算可能な特例』を持つ、極めて特別な実物資産なのです。

 

 

 

つまり、売却した際に、購入時との差額で損失が出た場合、他の収入(給与や事業所得)から損益通算することが可能なのです。

 

 

 

すなわち、マイホームを売却した際に、購入時の金額より値下がりしていれば、値下がりした額(譲渡損失)を、所得から控除する事が可能です。

 

 

 

ここが、単なる消費でしかない賃貸や、消耗品でしかない車との、大きな違いです。

 

 

 

参考)国税庁 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき

 

 

 

 

つまり、収入の約半分を税金(所得税+市民税43~55%)で搾取されている、開業医を始めとした高額納税者にとっては、マンションを売却してでた譲渡損失を、所得から控除することで、これから、もともと納める予定だった税金が免除されるのです。

 

 

 

簡単に言うと、マンションの値下がりした額の約3.5割譲渡損失の約半額は、税金で返ってくるのです。(※)

 

 

 

(※正確には、売却時のマンション取得金額は、減価償却という制度のため、実際に購入した時の金額より下がります。そのため、譲渡損失=マンション取得金額(減価償却)ーマンション売却額となります。つまり、譲渡損失は、実際に購入した時の金額からの値下がり額よりは少なくなりますが、それでも、前述の通り、譲渡損失の約半額(実際の値下がり額の約3.5割)が返ってきます。)

 

 

 

つまり、値下がり額を住居費としてみると、実質的には、新築マンションに約3.5割引で15年間住めたのと同じことになるのです!!

 

 

 

繰り返しますが、マンション購入費用以外の、管理費、修繕積立金、駐車場代、固定資産税、ローン金利は、損益通算の対象外です。

 

 

約3.5割引になるのは、あくまで、建物の値下がり分譲渡損失の約半額)だけです。

 

 

 

また、1年で控除しきれない損失の金額については、その譲渡の年の翌年以後3年間にわたり繰り越して控除することができます。

 

シミュレーション 1,500万円値下がり(-30%)の場合

 

それでは実際に、シミュレーションを行ってみます。

 

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まず、5,000万円の新築マンション(土地2000万円+建物3,000万円)を購入し、15年後に3,500万円(値下がり率30%)で売却しました。

 

 

もともとの購入費用は5,000万円ですが、建物の取得費には、以下の減価償却が計算されます。

 

 

マンション(居住用、鉄筋コンクリート造)の減価償却費の計算式

減価償却費=建物分の取得費×90%×償却率(0.015)×経過年数

 

 

つまり、この場合の減価償却費は、マンションの建物部分(3,000万円)のみにかかり

減価償却費=3,000万円✕×90%×償却率(0.015)×15年=607.5万円ですので、

 

 

売却時(15年目)のマンションの取得費は、5,000万-607.5万=4,392.5万となります。

 

 

ここに、不動産屋などに支払う仲介手数料や印紙税、測量費など、売却に要した費用がかかりますので、仮に6%で250万円としておきます。

 

 

すると、譲渡損金は

 

譲渡損金=(マンションの取得費(減価償却後)+売却手数料)ー売却代金=(4,392.5万+250万円)-3,500万円=1,142.5万円

 

 

となります。

 

課税所得3000万円、税金(所得税+市民税)が50%の開業医であった場合、マンションの売却年には1,142.5万円✕50%=571.25万円の税金の支払いが免除されることになります。

 

 

つまり、購入時から下落したマンション価格1,500万円のうち、571.25万円分は、税金から返ってくることになります。

 

 

これは、571.25万/1,500万=38.1% offとなります。

 

 

結果的に、開業医は、新築マンションに約3.5割引で15年間住むことができるのです。

 

 

 

繰り返しますが、自宅マンションは、単なる消耗品ではなく、損益通算特例のある極めて特別な実物資産なのです。

 

 

 

賃貸との比較

 

 

上記の通り、マンション購入の場合、15年分の本当の住宅費は、値下がり分1,500万-控除分571.25万円=928.75万円となります。

 

 

これは15年間住む場合ですので、住宅費は年間にすると61.9万円/年、月額5.1万円/月の計算になります。

 

 

ここに、修繕積立金+管理費+固定資産税=約5万円/月とすると、合計約10万円/月程度の負担になることが分かります。

 

 

 

一方、賃貸の場合、一般的に、表面利回り6%/年程度(修繕積立金、管理費含む)とされますので、同じ5,000万円の物件では、5,000万✕6%=300万円/年=25万円/月が、家賃部分となります。

 

 

すると、同じマンションであれば、購入した場合の費用が約10万円/月、賃貸の場合が25万円/月となります。(この差額15万円(約3%)が、マンション投資の実質利回りとなる。)

 

 

 

売買手数料などはあえて省いておりますが、それらを考慮しても、最終的に、購入した方がかなり安く住めるのは明らかでしょう。

 

 

これには、売却時に控除される譲渡損失も、かなり大きく影響しています。

 

 

一般のサラリーマンの悲哀

 

 

そして、同時に非常に重要な点は、このスキームは、所得がなくなる(つまり、納める税金がなくなる)であろうリタイア後には使えない方法である、という事です。

 

 

 

 

すなわち、一般のサラリーマンでは、通常、現役時代に念願のマイホームを購入し、一生をかけてこつこつ返済し、リタイア時の退職金で一括返却することが多いと思われます。

 

 

この場合、永住するには問題ないかもしれませんが、リタイア後にマンションを売却しても、せっかくの譲渡損失を控除する収入がないため、譲渡損失が控除できず、まるまる損になってしまいます。

 

 

 

そのため、その時点で、譲渡損失を控除できないマイホームを、もはや、手放すこともできず、また、資金もないため買い換えることもできず、既に購入から数十年経過して老朽化し、管理費・修繕費が年々値上がりするマイホームに、今後も縛られて生きていくしかないことになるのです。

 

 

 

もちろん、同じスキームを使用して、15年毎にマンションを売買することは、一般のサラリーマンにも、理論上は、一応可能です。

 

 

しかし、4年間では譲渡損失が控除しきれないこと、仮に控除できたとしても所得税率がもともと低いので半額は返ってこない所得税累進課税ですので、高所得者の方が控除される税率が高い)こと、そもそもですが、住宅ローンを2回も3回も借りられないだろう、という点で、一般のサラリーマンには、大変残念ながら、このスキームは、現実的ではありません。

 

 

 

開業医(高所得者)の優位性

 

 

逆に言えば、高額納税者は、現役時代にうまくマンションを買い換えると、リタイアするまでの間に、ピカピカの新築マンションに、15年間、3.5割引で住む生活を送ることができます。

 

 

 

そして、リタイア直前には、次の5つの選択が可能になります

 

 ① 比較的新しい2回目購入のマンションにそのまま住み続ける(1回目のマンション分だけ3.5割引で住む) 
 ② 閉院前数年前に、2回目に購入したマンションも売却する(2回目の損益通算、1回目のマンションも、2回目のマンションも、実質、3.5割引で住める)
 
  そして、②の上で

 ③ (子供も独立した頃ですので)夫婦2人で住める適度な広さの、手頃な価格で最新の新築マンションを新たに購入する
 ④ ゆっくり定住のために、いよいよ一軒家を購入する
 ⑤ あるいは、数年ごとにアパートを借りて、日本や海外に、自由気ままに悠々自適な転居生活を楽しむ(別に、特定のマイホームの譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例参照)

 

 

というように、実にさまざまな選択肢を選ぶことが可能になります。

 

 

これは、開業医等の高所得者の優位性であり、現役自体に、実質3.5割引でマンションに住めたことで、溜まった余裕資金があるからこそ、選べる選択肢です。

 

 

 

開業医は、現役時代の住居費15年分~を3.5割引で住むことができ(売買手数料を加味した総額でも、同じように、新築マンションを購入し、そこに永住する一般サラリーマンより、住居費負担が少ない)、なおかつ、リタイア前後で、築浅マンションにそのまま住み続けるか、あるいは、マンション(2回目)を売却し(それまでの全ての住居費が3.5割引となる)、さらに新たな住宅(3回目)を購入するか、という夢のような生活ができるのです。

 

 

 

しかしそれは、裏返しに見ると、それだけ開業医(高所得者)の累進課税が高すぎるためであり、控除されたときに、返ってくる額が多くなるだけ、という事に過ぎません・・・。

 

もともと高すぎる税金を納めすぎていただけであり、決して制度を悪用できるズルい立場というわけではございませんので、そこは誤解なきよう、ご承知願います。。。。

 

 

 

なぜ新築マンションか?

 

 

今回、新築マンションの購入と説明していますが、このスキームは、中古マンションでも、特段問題ありませんし、なんなら、戸建住宅でも、税法上はOKです。

 

しかし、以下の点から、新築マンションをおすすめします。

 

流動性リスク

 

新築マンションなら、15年後でも、売りたいときにスムーズに売買を行えることが予想されますが、これが戸建住宅や、購入時から更に15年経過した中古マンションでは、下手したら売却できないという流動性の問題が出てきます。

 

 

管理費、修繕積立金

 

また、多くのマンションでは、当初の管理費修繕費積立金を安く抑えており、築後15年程度から徐々に値上げされることが多いようです。

 

 

管理費修繕積立金は、残念ながら、売買時の購入費の中には含むことができませんので、この点は払った分だけ損になりますので、できるだけ安く抑えておきたいところです。

 

また、築15年前後になると、1回目の大規模修繕が入った直後になりますので、売却しやすいということもあります。

 

 

戸建住宅はリスクが大きい

 

 

さらに、戸建住宅では、設計事務所などに頼んで建築費が高騰しがちですが、建物部分の値段はマンションより下落しやすいこと、また、建主の趣味が強く反映された独特な家だった場合は、そもそも売却困難など、不利な点が多くあります。

 

また、減価償却がマンションより戸建住宅のほうが早い(マンション✕0.015:戸建住宅✕0.031)ため、売却時の取得価格(減価償却後)がより早く下がるため、譲渡損益が少なく計算されてしまいますので、この点でも戸建住宅のほうが不利です。

 

 

自分が永住する目的ならば問題ありませんが、中期的な売却を考えるならば、戸建住宅は避けておいたほうが無難でしょう。

 

 

(なお、余談ですが、マイホームの場合、減価償却による取得価格の下落があるのに、何故か、減価償却分を経費として毎年計上できません。そのため、マイホームでは、減価償却分は、まるまる持ち主の損になってしまいます(事業用なら、もしくはマイホームを誰かにやむを得ず貸し出す場合は、毎年、減価償却費は損金として計上できます。)。住宅ローン減税があるためなどと説明されますが、なぜ持ち主だけが損する仕組みなにか、よく分かりませんでした。)

 

固定資産税

 

 

固定資産税も、購入価格に含めないので、払った分だけ損になります。

 

 

土地建物には固定資産税1.4%がかかりますが、新築マンションの場合、軽減措置があり、5年間(長期優良住宅の場合は7年間) 固定資産税額の1/2を減額する事が可能です。

 

 

中期で住宅を手放すことを考えると、新築マンションは、この点でも有利となります。

 

 

 

 

以上の通り、売買時の流動性、維持費などの点から、できることなら新築マンションにしておいたほうが、このスキームを使う上では、より有効と考えられるのです。

 

 

万が一の場合の保険

 

また、マイホームを購入する際の住宅ローンを組む際に、多くの方が団信に加入されることが多いと思われます。

 

 

これは、購入者に万一のこと(死亡や重篤な疾患の発見)があった際に、残りのローン残高が免除される仕組みです。

 

 

15年ごとに新たに住宅ローンを組むことで、残りのローン残高がリセットされますので、新たな2回目マンションのローン残高が増えますが、1回目のマンション売却金額と残ローン差額は手元に残ります

 

 

その状況で、万一、団信を使用した場合に、免除されるローン残高が増えることになりますので、(その状況は決して望ましくはありませんが)、万一の場合の保険としては、あらたに住宅ローンに入り直すことのメリットもより大きくなります。

 

 

マンションが値下がりしなかった場合

 

 

また、逆に1回目に購入したマンションが、15年目に購入金額から下がらなかった、もしくは値上がりして売却できる場合はどうでしょう?

 

 

これは、むしろ幸運であったというだけで、損することは何もありません

 

 

当然、上記の、譲渡損失による損益通算は使えませんので、高所得者であろうと、一般のサラリーマンであろうと、条件は同じになります。

 

 

どんな所得の方であっても、お得な結果であった、というだけで、決して損なことは何一つありません。

 

 

 

また、マンション値上がりの譲渡利益に対しての税金がかかることがありますが、マイホームを売却した際は、特例で、譲渡利益3,000万円までは非課税となりますので、多くの場合、新たな税負担はありません。

 

参考)国税庁 マイホームを売った時の特例

 

 

 

つまり、値下がりしなかった場合は、高所得にとって、特段優位性がある状況ではありませんが、15年間、損失無しで新築マンション住めたことになるわけですから、何の問題もありませんね。

 

 

同じように15年で売却して、新築マンションでまた同じ方法を狙うこともできますし、そのマンションが気に入っていれば、そのまま継続して住み続けて、閉院間近で売却しても良いです(その段階で損益通算)。

 

 

 

なお、マンションが値下がりはしたけれでも、その値下がり額が少なかったため、減価償却とほぼ変わらない額(減価償却(建物部分)は15年20.25%、30年で40.5%)なので、上記特例は使えないという場合もありますが、その場合も、単に幸運なだけで、損なことはありません。

 

 

15年も新築マンションに住めて、売却価格の値下がりが、マンション購入価格ではなく、建物価格のほんの20%程度で済んだということは、かなり高く売却できたということです。

 

 

例えば、先程の新築マンション5000万円(土地2000万円+建物3,000万円)の場合では、15年の減価償却費20.25%とは、建物3,000万円✕20.25%=607.5万円になります。

 

 

607.5万円/15年=40.5万円/年=3.4万円/月です。

 

 

値下がり額が減価償却と同じというのは、結果的に、5,000万円の新築マンションに、たった3.4万円/月で住めたことになるわけです。

 

 

 

かなり住居費を節約できたことになりますので、こちらも特例が使えなかったとしても、全く問題になることではありませんね。

 

 

 

大切なのは、高所得者にとって、購入した新築マンションの値下がりは、損失補てんされるため、過度に恐れる心配のないことだ、ということです!

 

 

 

そしてこれは、現役時代(高所得)のうちに、マンションを売却しなければ、活用できないスキームだ、ということなのです!!

 

 

 

マンションを法人所有にして経費化はできない

 

 

なお、少し開業の勉強をされた方の中には、こんなまどろっこしい方法を取らずに、マンションを、法人所有として購入し、院長に貸し出しすれば良いじゃないか、と思う方もいるかもしれません。

 

 

そうすれば、マンション購入費も諸費用も、全部まとめて経費化できるのではないか?

 

実際に、今でも、医療開業コンサルの書いた本にこのスキームが掲載されているのを、つい最近発行された書籍でも確認しました。

 

 

 

しかし、結論から言うと、昔はともかく、今はこのスキームは使用できません

 

 

 

なぜなら、法人所有として社宅化したマンションは、特定の人物にのみ貸し出しすることはできないからです。

 

 

もし、法人所有として購入した場合、院長だけではなく、他の従業員(看護師さんや医療事務さん)も、同様の条件で、いつでも貸し出しした実績が確認できなければなりません。

 

 

つまり、例えば、同様のマンションを数件購入し、複数の従業員がいつでも貸し出せる状況にしておかなければならないのです。

 

 

そうではなく、特定の人物(院長家族)だけが格安で貸し出しを続けた場合、これは実質的に、法人の利益の個人誘導、つまり『給与扱い』と判断され、差額分の所得税+市民税を請求されてしまいますので、全くメリットがないのです。

 

 

つまり、現在では、社員寮のようなどの職員も利用できる形式以外は、マンションを社宅として購入し、院長に貸し出しする事はできないのです。

 

25年目に売却した時との比較

 

なお、今回、15年で売却というスキームですが、これは、開業中(約30年間)に、ぎりぎり2回、回転売買できるための間隔としたからです。

 

 

この売買を1回だけ、25年目くらいに行うことも、もちろん可能です。

 

 

この場合、不動産会社に支払う売買手数料(行って来いでマンション価格の6%、約300万円)が1回で済むことなど、メリットもあります。

 

 参考)25年目に売却した時

 

 マンション取得価格 3987.5万円(土地2,000万円+建物1,987.5万円(減価償却33.75%))

 売却額       2,750万円(-45%値下がり)

 手数料6%       165万円

 

  では、譲渡損失=(3985.5+165)-2750=1,400.5万円

 

  となり、税率50%で、700.25万円が返ってきます

 

 

 

しかし、15年目で売却した場合の返ってくる金額と比較すると

 

 

571.25万/15年=38.1万円/年

700.25万円/25年=28.0万円/年

 

 

 

となり、実は、15年目で売却したほうが、税率の計算上はお得になるのです。

 

 

 

これは、築15年を経過すると、マンションの値下がり率が下がる一方、減価償却の速さは一定なため、結果的に、15年目以降の譲渡損失が少なく計算されるためです。

 

 

もちろん、値下がり率が下がるということは、より高く売れるということですので、決して悪いことではありません(築15年目以降のマンションが人気なのも、このためです)。

 

 

しかし、15年目まで、値下がり分の3.5割が返ってくる(損失補填される)ということを考えると、長くマンションを保有することのメリットが多いとは言えなくなってきますので、あえて15年目までに売却するのも一つの方法ではないでしょうか。

 

 

また、前述の通り、

 

 

 ① 15年目より25年目のマンションほうが流動性がやや下がり、売れないリスクが高まること

 ② 管理費・修繕積立費の増額があること

 ③ また、新築マンションの固定資産税の軽減特例があること(最大7年)

 ④ 住宅ローン減税により10年目以降に実際の利息負担がかかるため、15年目売却では、5年分の利息負担で済むが、25年目売却では15年分の利息がかかること

 ⑤ 2回目マンションでも新たに住宅ローン減税が利用でき、2回目売却時も利息負担は5年分だけで済むこと

 

そしてなにより、

 ⑥ 15年毎に新築に住むという満足感が得られること

 

 

 

から、売買手数料を考慮しても、15年目売却の方が、生活満足度が高いのではないかと考えました。

 

 

この点については、様々な意見があると思っています。

 

 

☆新築マンション vs 築15年目以降のマンションの所有の比較☆

 新築マンション
 ・購入後の値下がりが大きい→特例で3.5割が返ってくる
 ・修繕管理費・管理費が安い→返ってこない費用が少ない
 ・固定資産税減免あり→返ってこない費用が少ない
 ・住宅ローン減税により、利息支払いは11年目以降~売却時のみ→返ってこない費用が少ない
 
 15年目以降マンション
 ・購入後の値下がりが少ない→減価償却が早いので、特例で返ってくる金額が少ない
 ・修繕管理費・管理費が高い→返ってこない費用が多い
 ・固定資産税減免なし→返ってこない費用が多い
 ・所有11年目以降、利息を払い続ける→返ってこない費用が多い
 

 

 

こうしてみると、一般的に見て、築15年目以降のマンション所有の最大のメリットである、15年目以降の値下がりが少ないという点は、税控除を考えると、メリットは少なくなり、むしろ、返ってこない費用(修繕管理費・管理費・固定資産税・金利が多くなる点は、特例を使ったマイホーム売却のスキームの観点からすると、実は、デメリットが多いことがわかるかと思います。

 

 

 

中期的(15年前後)に売却することを前提とした場合と、基本的に売却はせずに、長期的な所有(基本的には永住、相続時に資産価値が高く残ることが目的)が前提の場合で、実は、狙うべきマンションは異なるのです!

 

 

中期的に売却することを前提とした場合は、建物価格の下落はあまり重要ではなく(損失補填される)、返ってこない費用(管理費・修繕費・固定資産税等)が少ない物件、つまり、新築マンションが適してます。

 

 

 

一方、長期的な所有が前提(永住、生きている間は売る予定ない)の場合なら、中古マンションの方が良いかもしれません。

 

 

 

むすびに

 

 

通常、多くの方にとって、マイホームを購入するのは、永住目的であり、一生に1回、と考えていることと思われます。

 

 

そのため、中期的な住居、という視点を持ったことがある方は、ほとんどいらっしゃらないことでしょう。

 

 

しかし、今回のスキームを使えば、住居費を安く、しかも、老後も新しい住宅に住め、維持管理費を安く抑え、最終的には、子どもに負動産を残す可能性が少なくなる、という、非常に多くのメリットがあるのです。

 

 

 

そして、一般的には、マンション購入後に特に心配なのが、購入した物件の価格下落ですが、今回のスキームを使用すれば、マンション価格の下落は、実は、それほど恐れる必要がない(税金で返ってくる)ということが、お分かりになられたかと思います。

 

 

 

終の棲家という考えにこだわりすぎず、あえて15年毎に買い換えることで、税制を上手に利用して、新築マンションで快適な生活を送ることが可能なのです。

 

 

繰り返しますが、今回のスキームは、所得がなくなる(つまり、納める税金がなくなる)リタイア後には使えない方法です。

 

 

 

(※リタイア後にも、配当収入や家賃収入が数千万円/年ある、などという超々例外は別として。)

 

 

 

自宅マンションは、(高収入で累進課税が高い時期、リタイア前の)適切な時期に手放して、初めて、損失を控除するという活用方法が可能な、極めて特別な現物資産なのです。

 

 

 

それではみなさま、良い開業を!

 

 

 

☆この記事のまとめ☆

 ① 開業医(高所得者)は、新築マンションに3.5割引きの住居費で住むができる(建物価格の値下がり額のみ。修繕費積立・管理費などは除く。)。  
 ② 方法は、15年毎に住み替えるだけ。
 ③ この方法は、リタイア前(高所得であるうち)でないと活用できないので注意!

 

 

☆新築マンション vs 築15年目以降のマンションの所有の比較☆

 新築マンション
 ・購入後の値下がりが大きい→特例で3.5割が返ってくる
 ・修繕管理費・管理費が安い→返ってこない費用が少ない
 ・固定資産税減免あり→返ってこない費用が少ない
 ・住宅ローン減税により、利息支払いは11年目以降~売却時のみ→返ってこない費用が少ない
 
 15年目以降マンション
 ・購入後の値下がりが少ない→減価償却が早いので、特例で返ってくる金額が少ない
 ・修繕管理費・管理費が高い→返ってこない費用が多い
 ・固定資産税減免なし→返ってこない費用が多い
 ・所有11年目以降、利息を払い続ける→返ってこない費用が多い
 

 

中期的に売却することを前提とした場合と、長期的な所有が前提の場合で、狙うべきマンションは異なる

 

中期的に売却することを前提なら、新築マンションが適してます。

 

一方、長期的な所有が前提なら、中古マンション良いかもしれません。