あの人に、言葉をとどけるシンプルな方法

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誰かを「変える」ことはできません。

 

しかし、人は「変わる」ことはできます。

 

 

まるで禅問答のようですが、そうではありません(笑)。

きちんとした、対人コミュニケーション技法のひとつです。 

 

人生の悩みはほとんど対人関係

 

仕事でも、家族や友人関係においても、私たちの人生の悩みのおおよそ80%くらいは、対人関係からくる悩みで占められていると言われます。結婚相手を探すということも、大きな意味では、この範疇に含まれますね。

 

残りは、学業や金銭面、健康、政治といったことから生まれるものですが、これらは生まれ持った性質や能力、国や周囲の状況に依存する割合が多いため、個人が可能な最適な方法をとった後は、結果が出るまで時の経過を待つしかない側面も多いため、自分の努力でどうにかできる部分は、実はそれほど大きくありません(米国株投資もここに入ります)。

 

対して、対人関係の問題については、基礎となるコミュニケーション技法を学んでおけば、状況を大きく変え、ひいては自分の人生の悩みをかなり小さくすることが可能です。

 

つまり、対人関係の問題について、適切な対応方法を学んでおけば、人生の悩みのほとんどに対して、上手に対処ができるということです。

 

リスクの大きいボラティリティの大きな投資に神経をすり減らすのではなく、悩みやストレスの少ない人生を目指すことが、このブログで最もお伝えしたい内容です。

 

今回は、精神科医 水島広子先生の著書『仕事もプライベートも「思い通りにならない相手」を動かす心理術』から、私が学び、実際の診療にも利用させていただいている対人コミュニケーション技法の一部について、ご説明をさせていただきたいと思います。(一部表現を変更させていただいている箇所がございますが、ご了承ください。) 

 

人間には、『理論』型と『感情』型の2つのタイプがある

 

人間の性質には、大きく分けて、『理論』型と『感情』型の2つのタイプがあります。

 

何を当たり前なことを、という方もおられるかもとは思いますが、所詮は人と人とのコミュニケーションです。

 

当たり前のことを、当たり前に知り、それに対応できる、という方法を学んでおく必要があります。

 

以下に、『理論』型と『感情』型の特徴を抜粋します

 

 『理論』型の人の特徴

 ・筋が通る理論的な話を提案された場合、(自分の好き嫌いにかかわらず)「理屈が正しい」案件を却下できない

 ・思い付きで話されるとイライラする

 ・(その人の努力や過程に関わらず)最終的に結果を出せなかった人間を無能と判断する

 

いい意味でも悪い意味でも、公平な人間と言えますね。

 

 『感情』型の人の特徴

 ・機嫌に波がある

 ・理屈や公平性よりも、立場や人間関係を重視する

 ・(たとえ結果が出なくても)相手が一生懸命やったという心がけは評価する

 

情に厚く、人間関係を大切にする方がここに当てはまります。

 

一般的には、女性に『感情』型が多く、男性に『理論』型が多い傾向がありますが、必ずしもそうとは言えません。『感情』型の男性もいれば、『理論』型の女性もいます。

 

また、これは完全に分けられるものでもなく、基本的には『理論』型だけれども『感情』の部分を大切にする人もいますし、『感情』型だけども理屈も通ってなければ納得できない方もいらっしゃいます。

 

しかし、その相手が、概ねこのどちらをより重視するかによって、その相手を納得させる会話手法というものが180度変わってきます

 

自分』と、その『相手』が、よりどちらのタイプに分類される人間かを、まず第一に知る必要があります。

 

もしそれが分からなければ、どちらかに重きを置いた頼み方をして、相手の反応も見てみるとよいでしょう。

 

相手のタイプによって、納得させる手段が真逆です

 

理論』型の人への会話の方法

理論』型の人間には、とにかく、理屈の通った話をする必要があります。『理論』型の人間に、『感情』に訴えるコミュニケーション方法をとると、相手にとっては納得のできる根拠がないため信頼を得ることができず、時には、相手にとって理不尽な要求をされている、とられてしまうことさえあります。

 

 

感情』型の人への会話の方法

その逆に、『感情』型の人間には、とにかく、『理論』を並べてはなりません。たとえそれが正しい内容であっても、『感情』型の人間に『理論』だけを重ねた会話をしていくと、自分の話を聞いてくれない、さらに悪くなると、責められているという被害者感情を引き出す結果につながってしまいます。「特別なあなただから、お願いできる」などと、相手の情に訴えるアプローチが有効です。

 

 

女心を察しない男、理不尽な要求する女、という言葉がありますが、アプローチ方法をお互いに間違えてしまったことによる、悲しいすれ違いの最たるものと言えるでしょう。

 

自然な会話というもの

 

いわれてみれば当たり前、と思うかもしれませんが、『自分』のタイプをよく理解していないと、『理論』型の方は『理論』型のアプローチを、『感情』型の方は『感情』型のアプローチをしてしまうのが、自然な会話というものです。 

 

これは『相手』を自分の良いように操る、といった方法や手技を言っているのではありません

 

相手によって、伝わりやすい会話の方法をとることができる。

 

言い換えれば、『自分』よりも『相手』を優先にする会話ができる人になれる、ということです。

 

 

この『理論』型と『感情』型の人との会話アプローチ方法は、本書の会話技法のほんの一部です。さらに詳しい内容は、本書をお読みください

 

しかし、このことを意識して実践するだけでも、これまで、『会話が通じない』と諦めていたような相手にも、『会話のアプローチを、『自分』が間違えていたのかもしれない』と気づけるきっかけになるかもしれません。

 

基本はTry & error

 

この技法のもととなっている対人関係療法は、医療の分野でも広く行われているカウンセリング技法の一つであり、その基本は、実際の会話によるTry & errorです。

 

つまり、『Try=会話』してみて、『error=失敗』することが前提の方法です。

 

失敗をしてみて当たり前なので、そこから、少しずつ『相手』に合わせて修正して、生涯をかけて『相手に伝わり、相手の行動を変える』会話を学んで行くことができる手法です。

 

仕事で、取引先や同僚と良好な関係を築くために有用なテクニック、という側面だけではなく、家庭内の夫婦や親子間での、温かな会話をするための気づき、または、婚活の場で、相互理解を深め合うための将来の投資として、どなたにも、人生の早いうちに出会い、学んでおいた方が良い内容だと思います。

 

むすびに

 

私、shiro-mameshibaは、どちらかというと『理論』型の人間だと思います。

 

ややもすると、できるだけ多くの根拠を集めて、理屈が通る内容で、相手に説明しようとすることが、相手に対しての誠実性だ、と勘違いしてしまいがちです。

 

実際の診療でそれを行うと、上手くいくときは上手くいきますが、ダメなときは全く相手に納得して頂くことができないということが、しばしばあります。

 

医療は押し付けであってはならない。

相手をよく見て、伝わる方法を考えることを面倒がって避けてはならない。

 

正論では、人は動かない

 

それは、医療の場だけではなく、家族や近しい人との会話にも言えることです。

 

日々の自戒を込めて、今回の内容について、備忘録として書き記してみました。

 

ご覧いただきありがとうございました。

 

(なお、水島広子先生の講演を直接拝聴させていただいたことがありますが、とても有意義な内容であり、人間性としても大変に公正な方で誠実さを感じました。ご著書も他に多数あり、どれも学ぶことが多い名著ばかりですので、お時間がある方は、ぜひお手に取って読まれることをお勧めいたします。)