株価急落時に『落ちるナイフ』の最適な購入方法を考える

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こんにちは。

 

みなさんの中には、来るべく大暴落を待ち望み、キャッシュポジションを高くとっている方も多いと思います。

 

それでは実際に、株価急落が起きたときに、どのように買い進めていったら良いかについて考えてみました。

 

(投資初心者向けの内容になります。)

 

 

暴落について

 

まず第一に、暴落がいつ起こるか、それがどこまで落ちていくかは、誰にも分りません。子猫のように気まぐれです。

 

暴落が起きた後になって、その理由や名前が付くだけで、その出現時期や暴落規模を予想することは、我々には、まず不可能と考えた方が良いです。

 

また、株価が急落している最中に株式を買いつける投資法は、『落ちるナイフを拾う』と言われるくらいに、非常にリスクの高い危険な投資法であることを、特に投資初心者の方は、重々ご理解ください。(タイミング投資は、一般的にはおすすめされていない投資法なので、基本、マネしない方が良いです。)

 

その上で、今回、株価急落時の投資方法についてシミューレーションをしました。

 

なぜなら、いざ株価急落が起きたときに、予想されるリスクとリターンが分からないと、買うにしろ売るにしろ、狼狽してまったく身動きがとれなくなってしまい、結局、絶好の買い場を逃してしまう可能性が高いからです。

 

私にとっては、2015年に株式取引を始めた直後におこったチャイナショックがまさにそうでした。(この点については、後日の記事で書く予定です。)

 

株価急落時の投資plan

 

まず、株価急落(調整)時の投資の前提を以下の通りとします

 

 前提

 ① 投資するのは、S&P500やダウ平均等の米国株指数に連動する商品とする(VTIがおすすめ)

 ② 株価急落(調整)時に、プラン(表1)に従って機械的に投資をする

 ③ 株価急落(調整)後に、数か月~数年で、株価が元に戻ることとする  

 

株価急落時の投資プランを以下のAG の7つの方法でシミュレーションしてみました。

 

株価急落時の投資plan A~G(表1)

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上の表1の見方として、株価急落時に、直近の株価最高値から何%下落したとき(表の縦列(左枠)の下落率)に、総投資資産の何%の資金を追加投資していくかを、plan A~Gの7つのプラン毎に示したものです。

 

すべて、合計100%の資産を投じるものとします。

 

例えば、plan B では、株価が-5%下落するごとに、10%の資産を追加投資していくことを示しています。-50%の下落時に、投資金額合計が100%となります。

 

plan Cでは、-10%の下落時に10%の資産を投資し、-20%の下落時に20%の資産を追加投資するというプランです。

 

(下落率の最大値をー50%としたのは、深い意味はありません。plan Bを基準にして考えた時に、全資産を投じるのが下落率-50%の時点だったために、この基準でほかのプランと比較するため、という理由です。ご自分の想定する暴落の規模に合わせて、-70~-80%まで最大下落幅を下げてもよいと思います。)

 

プラン毎のリターン

 

プラン毎のリターン(表2)

これらA~Gの各プランにおける最大下落率毎のリターンを下表にお示しします。

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表2の見方として、その暴落(調整)時に、最大で何%まで株価が下落したかを表の縦列(左枠)に示し、その後に元の株価に戻った時のリターン(総資産額)をプラン毎に示しています(基準を100とする。買い付け手数料、信託手数料、為替変動はすべて無視します。)。

 

表中で色が着いている部分は、その下落率の時に最大のリターンが得られるプランを示しています。

 

例えば、plan B (株価が-5%下落するごとに10%の追加投資を行う)では、最大で-30%の株価下落した後に、株価が元値に回復した場合、総資産は、投資予定額の114%になることを示しています(投資予定額の60%を実際に投資しているので、リターンとしては+23%)。

 

同じように、plan C の場合、最大で-30%の株価下落した後に、株価が元値に回復した場合、総資産は投資予定額の119%になることを示しています(+31.6%リターン)。

 

%表記だとわかりにくいと思うので、実際に、1000万円、2000万円、3000万円を投資した時のリターン(総資産額)をお示しします。

 

1000万円(表3)

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2000万円(表4)

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3000万円(表5)

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暴落時に投資しても、資産を倍増することはできない

 

どうでしょうか?

 

1000万円を投資したとき、最大で-50%を超える暴落の時でさえ、最もリターンが得られるプランGであっても、得られるのは+642万円(+64.2%リターン)です。

 

つまり、暴落時にタイミング投資をした場合、運よく狙い通りに株価が回復したとしても、せいぜい投資額の1.3~1.6倍程度にしか資産は増えません。

 

思ったよりも、少なくありませんでしたか?

 

なんとなく、暴落時に集中投資すれば、資産を何倍にもできる、とか考えていませんでしたか?

 

私もそう思っていたので、実際に計算したときに、ちょっと愕然としました(笑)。

 

ダウ平均リターンが6.8%/年(暴落含む)と言われているので、+50%リターンというのは、ダウ平均の8年間分リターンとほぼ同程度にすぎません。

  

もちろん、暴落の底が見えるまで全く投資をせずに我慢をする方法もあると思いますし、当然その方がリターンは大きいですが、それは、10~-50%程度の調整~小暴落時のリターンを全て無視することになり、機会損失が大きくなります

 

また、いつが底値かわからず、結局は身動きができなくなってしまうでしょう。

 

どの投資プランがおすすめか?

 

人によって、どの投資方法が良いかは意見が分かれると思いますが、私個人としては、plan Aが最も良いのではないかなと考えます。

 

Plan A

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Plan Aはplan Cとよく似ています。plan Cが-10%の下落率毎に投資するのに対して、Plan Aは-5%の下落率毎に投資する方法です。

 

plan C

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リターンはほぼ同程度ですが、plan Cは1回の投資額が大きいので、とてもドキドキします。結果的に躊躇してしまい、買い付けができない可能性が高い、と小心者の自分は思うので、Plan Aくらいに分散した方が、購入しやすいのではないかと思います。

 

Plan Aのリターンを見てみますと、-35~-40%の下落率で回復した場合に、全プランの中で最もリターンが大きくなることがわかります。

 

plan G

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また、-30%からようやく投資を始めるplan Gと比較しても、最大リターンでもそう大きくは変わりません(Plan A 147%:plan G  164%)。また、plan Gは-25%程度の下落までは、まったく利益が得られません。

 

Plan E

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Plan Eは、-15~-35%の下落率の時にリターンが大きく、一見高パフォーマンスに見えますが、その後の伸びがありません。下落時に買い付けるというリスクを負った割には、最大でも126%しか資産が伸びないことがわかります。

 

下落直後に慌てて購入して、途中で息切れしてしまっている状態です(その分、ちょっとした調整時のリターンは良好ですが)。

 

Plan D

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Plan DもPlan Eと似たようなリターンで、リスクの割には伸びがありません。

 

Plan B

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Plan Bは、-5%下落するごとに同金額を買い付けるということで、分かりやすく、ドル-コスト平均法と同じ投資方法と言えます。

 

リターンもまずまず悪くないのですが、Plan Aと比較すると、-35~-50%下落時のリターンが比較的低いため、これならPlan Aの方が良いのではないかなと考えます。

 

Plan F

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Plan Fは、-15%下落時から投資額20%ずつで買い進める方法ですが、意外とリターンは伸びませんでした。

 

また、-15%の下落時から買い進めるというPlan Fの方法では、最近ですと、2018年初頭の大幅調整(下落率:-10.4%)や2015~16年のチャイナショック(下落率:-13.4%)時のダウ平均の下落幅では、買い付けを行うこともできません。

 

 

以上のシミュレーションから、私は、plan Aの投資方法が株価急落時には最も良いのではないか、と考えます。

 

本当の大暴落時には無力です

 

以上のシミュレーションは、あくまで、前提③にある「株価急落(調整)後に、数か月~数年で、株価が元に戻ることとする」が成り立つ場合にのみ効力を発揮します。

 

過去の暴落は、底値から元値までの回復に、おおむね1年~最大15年(平均5年)が必要でした。

 

また暴落規模も最大-85.7%(1929年世界大恐慌)と、今回のシミュレーションを大幅に上回っています。

 

したがって、本当の大暴落時には、今回のシミュレーションは役立たないことをご承知ください。

 

暴落時に投資できるのは、信頼できる市場だけ

 

結局は、その市場の成長を信じられるかどうか次第です。

 

例として、上海総合市場は、歴史的に見れば、2018年現在が、-47.9%の『暴落後』の状態です。

 

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 上海総合指数(2013/9~5年間) (出典:ブルームバーグ

 

ここから、株価が最高値までまた回復すると信じられるならば、今が、絶好の買いどき、かもしれません。

 

この市場の成長を米国株市場ほどには信用できないので、私はやめておきます

 

過去の暴落の歴史 

 

過去100年のダウ平均の歴史のうち、ダウ平均が-50%を超える大暴落したのは、1929年 世界大恐慌-85.7%)と2007年 サプライムショックに続く世界金融危機-50.0%)の2回だけです。

 

まさに、100年に一度の大暴落ですね。

 

あとは、-20~-50%弱の大きめの調整~小暴落でした。

 

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私のインデックスより)

 

株価急落時に、調整~小暴落に留まると予想して投資を進めるのか、大暴落のリスクを避けるために底値が見えるまで全く資金投入はせずに様子をうかがうかは、自己責任でお願いします。

 

今回、お伝えしたかった最も重要な内容は、

 

暴落時に勇敢に買い進めて、運よく成功したとしても、(通常の方法では)リターンはせいぜい+50%程度で、資産を何倍にもふやす大儲けまではできませんよ

 

ということです。

 

それと、信用取引には、絶対に手を出さないことをお勧めします。

 

2018年初頭の調整の時

 

2018年初頭に起こった株価急落時、不謹慎かもしれませんが、いよいよ暴落が来るのかと、毎日ワクワクしていました(笑)。

 

私、shiro-mameshibaは、その時点でのキャッシュポジションが90%を超えていたからです。

 

これこそ、ポジショントークですね。

 

shiro-mameshiba.hatenablog.com

 

 

しかし一方で、なんとなくですが、今回の下落幅はそれほど大きくはならないのではないかな、という予感もありました(根拠なし。)

 

ネット界では、当時、小幅調整に終わるという意見と、世界恐慌の再来という意見の両方が、無責任に飛び交っていました。株価急落時は、根拠のない極論が飛び交うことも、知っておいた方が良いでしょう。

 

考え方次第ですが、暴落時に落ちるナイフを買い進めるという投資方法は、-10~-50%程度の調整~小暴落時にこそ威力を発揮する投資方法だと思います。

 

それを超えるような本当の暴落の前では無力であり、10年程度の塩漬けになるリスクも覚悟した上で、投資を行うかどうかは自分で考えて決断してください。

 

大暴落時の 資産減少リスク

 

参考までに、plan Aで買い進めて、株価が-80%まで大暴落した場合の総資産は29.4%-70.6%リターン)になります。

 

株価-80%大暴落時の資産変化

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参考までに、plan Aで買い進め、もし-80%の大暴落が起きたら、資産は38.7%(-62.3%)にまで減少します。

 

どのプランでも大きく変わらず、資産の70%ほどが(一時的にしろ)溶けてしまいます。

 

株価急落時に買い進める行為は、このリスクを十分にご理解いただいたうえで行ってください。

 

むすびに 

 

しかし、そのような大暴落は、これもなんとなくですが、今後しばらく起きないのではないのかなと思います(根拠はありません)。

 

100年に1度の大暴落は、この100年で、もう2回来てしまいました。

 

2018年年初やチャイナショックの影響のような-10%~-40%程度の小暴落を繰り返していきながら、今後も米国株は、しばらく上昇を続けていくように考えています。

 

(くれぐれも、信じないでください。外れたらごめんなさい。自己責任でお願いします。)

 

  結論

 ① 株価急落時に投資を行い、成功しても、リターンは最高+50%程度

 ② 大暴落時には、総資産の70%が失われるリスクがある