年の瀬に物思い。クリニック開業するかどうか、悩んでいます(-.-)
こんにちは、shiro-mameshibaです。
静かな年の瀬に、shiro-mameshiba、クリニック開業に踏み切るべきか、おおいに悩んでいます・・・。
小児科医キャリア、次のステップへ
小児科医になってはや10年程度、本当に色々苦労もありましたが、なんとか区切りの10年間をこなすことができました。
前回記事にした通り、スペシャリティーとしての小児科専門医についで、ようやくサブスペシャリティーの専門医資格も取得できました。
shiro-mameshiba.hatenablog.com
ここで、次のキャリア形成の一つとして、自分のクリニックを開設して開業医になるか
どうかという、大きな決断をしようかと考えています。
ブログでわざわざ公開するような内容でもないのですが(笑)、こんなことで悩んでいる人間もいるんだよ、ということで、もしもよかったら御覧ください。
まずは、開業することの、それぞれのメリット・デメリットを考えてみます。
開業医のメリット
①転勤がなくなる
まず第一に、個人的に最大のメリットは、勤務医に必須の転勤がなくなることです。
なぜ勤務医に転勤が必須なのかは、大昔に記事にしているので良かったら御覧ください。
shiro-mameshiba.hatenablog.com
とは言っても、個人的には、転勤自体は実はそれほど嫌ではありません。
どんな田舎でも、美味しい食事と、それぞれの地域ごとの楽しみがあると思っています。
ただし、家族にとっては、住み慣れた場所から定期的に強制異動になるのは大変苦痛ですし、いつまでも定住できないストレスフルな生活が延々と続くのは、避けられるものなら避けたいと思うのは、当然とも思います。
ましてや、子どもが小学校、中学校に入学した場合には、転校を強制するのも心苦しいところです。
かといって、単身赴任は、私が絶対に嫌なのです。
家族と一緒に生活することが人生の最大の目的である私にとって、10年、20年、30年先まで単身赴任の可能性がある勤務形態は、大変恐怖ですし、その間の人生が奪われることと同義です。
開業により、勤務医としての最大のデメリットが避けることができることは大きなポイントです。
②収入
ここ数年のshiro-mameshibaの額面年収は1,500万円前後(手取りで1,080万円)前後です。
一方、開業医全体の平均額面年収は2,914万円(手取り約1,730万円)とされており、手取りでほぼ1.7倍となります(厚労省 H27医療経済実態調査より)。
現在30代半ばのshiro-mameshibaがこれから30年間働くとして、手取り差額で約1.95億円の差になります。
もちろん、これから勤務医として役職などがつくと年収も上がっていくと思われますので、もう少し差額は下がると思いますし、開業資金(約5,000万円)もかかるので、実際の差額は約1億円程度でしょうか。
開業のリスクをおかしてまで得られる金額として大きいか少ないかというと、微妙かもしれませんね。
また、今後、小児人口が減ることは確実ですので、いまのうちに開業しておかないと、将来的にもとが取れない可能性が高いということもあります。
③新しいやりがい
shiro-mameshibaの開業検討地域には、十分な病児保育施設(両親が仕事などで子どもを見れず、病気や病後で幼稚園・保育園に預けられない子どもを預けられる施設)が足りていません。
小児科クリニックに併設した病児保育施設も開設することで、地域に住む方々が安心して生活できる地域環境を提供できると考えています。
勤務医とはまた違った、新しいやりがいを目指せられるかもしれません。
④ストレス軽減
勤務医は、大変ストレスフルな仕事です。
転勤が多いことはもちろん、重症患者さんを24時間対応したり、夜間・休日の呼び出しは当然として、原因がわからない疾患を調べるために膨大な数の国内・海外文献を検索したり、専門の先生にコンタクトを取ったりすることも多々あります。
また、金銭的な見返りのない学会発表や論文作成などにも追われる人生です(それが生きがいという先生方もいらっしゃいますが、shiro-mameshibaはそうではありません。)。
もちろん、開業医は一国一城の主として、勤務医とはまた異なるストレスがあることは間違いありませんが、これらのストレスの殆どから離れられると思うと、人間らしい生活ができるのではないかな、と思います。
開業医のデメリット
①他の勤務医への引け目
shiro-mameshibaの働く県には、約100~150名ほどの小児科勤務医が在籍しています。
小児人口は、これから加速度的に減ることは間違いありませんが、県の面積が小さくなることはありません。
都会では医師の集約化がさけばれていますが、地方でどの地域にも安心できる小児医療を提供するためには、各地域ごとに小児科勤務医の存在がどうしても必要となります。
そのため、勤務医同士で苦労は分かち合って、数年ごとの地方転勤をこなしながら、お互い様だよな、となんとか納得しているというのが実情です。
子育て中の女性医師には、当直、夜間呼び出しが必須の地方勤務はなかなか困難ですし、それも現実的には仕方ないと思います(子育ては本当に大変ですから)。
私は決して優秀な医師ではありませんが、数として地方勤務をこなせる勤務医がひとりいることが重要なのであり、自分ひとりが欠けるだけで、代わりに地方に行く勤務医が増えてしまうことになります。
今まで、お互い様だよね、と頑張ってきた他の勤務医の先生方を差し置いて、まだ若い自分が開業してしまってもよいのだろうか。
ここが、一番の悩みです。
曲がりなりにも、医師の使命感を持って、この10年間、地域の医療を守ってきたという自負心も多少は持ちあわせています。
これまで貢献してきたからそろそろ良いのではないか、という思いもありますし、他の先生は勤務医を続けているのに、自分だけがQOML(Quality of My Life/Medical staffs' Lifeの略語)を求めても良いものなのでしょうか・・・。
②安定した収入が失われる
勤務医は、ありがたいことに平均からすれば高収入を頂いています。
勤務医である限り、これは(おそらく)保証されるでしょう。
また、小児人口は減少しますが、私のサブスペシャリィティー分野の患者さんは今後も減ることはない見通しなので、このまま定年までは、まず居場所に困ることはないと思われます。
私も妻も浪費する方ではありませんので、いまのままでも、まず間違いなく老後も生活に困窮することはないと考えています。
その安定性を捨ててまで、開業のメリットは有るのだろうか。
③医師としての成長が止まる
これは決して開業医の先生方を愚弄するつもりはありませんが、特にサブスペシャリティー分野まで考えると、高度に専門的な診察や治療は通常の開業医レベルではまず行うことはできません。
また、勤務医では容易な文献検索も、開業医では医中誌などに高額の登録料と使用料が必要ですので、なかなか容易ではありません。
非常にまれなケースの診断をつけたり、勉強をしていくことは、もちろんストレスでもありましたが、診断がついたことで(治療法の有無に関わらず)やっと安心できた患者さんやご家族の表情を見れることは、医師としてのやりがいや達成感、充実感につながっていたことも事実です。
小児科医としての10年間のキャリア、さらに言えば、高校生のときからこつこつ20年以上積み上げてきた、学ぶことにより高みを目指すという生き方が、ここで一旦終わるのか、と思うと、すこし戸惑いを感じてしまうのです。
むすびに
家族(妻)は、どちらでも一緒にいるよ、と言ってくれているのが心の支えです。
まあ、これも投資の格言、『よく分からないものには投資をするな』、にならい、どちらの選択をするにしても、開業するまでの方法やリスクなどについて、もっともっと調べてから決断を下そうと考えています。
以上、とりとめのない内容でお目汚しをいたしました。
みなさま、良いお年を!