ジョージア州決選投票、トリプルブルーの行方は、実質、残り1議席に!?
こんにちは、shiro-mameshibaです。
長きに渡った米国選挙も、ジョージア州の上院選挙2議席を残すのみとなりました。
この決選投票、1議席は民主党でほぼ確定ですが、もう1議席は大接戦の模様です。
トリプルブルーなるか?
- ジョージア州決選投票
- 大統領選は僅差でバイデン氏勝利
- 1議席は、実質、民主党でほぼ決まり
- コロナ前のインサイダー取引疑惑
- ジョージア州のコロナ流行は11月から急増中
- 共和党はロックダウンできない
- 中道派共和党支持者の行方
- むすびに
ジョージア州決選投票
現在、ジョージア州で決選投票が行われる2議席両議席とも現職は共和党です。
通常選挙の1議席は、現職のデービッド・パーデュー氏に民主党のジョン・オソフ候補が挑み、大接戦が繰り広げられました。
得票率はパーデュー氏が49.7%:オソフ氏が48.0%と、僅差ながら、共和党パーデュー氏が上回っています。
大統領選は僅差でバイデン氏勝利
2020 United States presidential election in Georgia - Google 検索
ジョージア州はもともと共和党支持が強固な地盤であり、民主党は1992年以来、ジョージアで負け続けています。
そのため、通常で考えれば共和党が2議席とも勝利してもおかしくはありません。
しかし、近年では人口動態のトレンド変化があり、リベラル寄りの若者世代の転入が増えています。
比較的若い登録有権者は過去4年間に68%の大幅増加となった一方、65歳を上回る高齢の登録有権者数は停滞しているため、共和党の牙城から徐々に変化しつつあります。
実際に、先日行われた大統領選挙では、本当に僅差ではありますが、バイデン氏が劇的逆転勝利を収めています(一応、結果はまだ未定)。
決選投票は2020年1月5日の予定です。
そのため、本投票の得票率こそ、共和党パーデュー氏が49.7%と1.7%上回っていますが、残り2か月でこの僅かな差がどう転ぶか、予想はかなり難しいと言えるでしょう。
1議席は、実質、民主党でほぼ決まり
また、決選投票のうち1議席は、共和党現職ケリー・ロフラー氏 VS 民主党候補ラファエル・ウォーノック氏の戦いとなりますが、こちらはほぼほぼ民主党候補ラファエル・ウォーノック氏の勝利が濃厚です。
そもそも、この1議席は、ケリー・ロフラー氏が現職ですが、前議員ジョニー・アイザクソン氏(共和党)が健康問題のため任期を2年残して引退したことを受けた補欠選挙(特別選挙)です。
先の本投票では、共和党現職ケリー・ロフラー氏が得票率26%、民主党候補ラファエル・ウォーノック氏同32.8%と、ウォーノック氏の圧勝です。
共和党の牙城で、現職有利にも関わらず、なぜこのような結果となったのか?
それは、ロフラー氏のインサイダー取引疑惑にあります。
コロナ前のインサイダー取引疑惑
米国で、新型コロナウイルスの流行による深刻な影響が生じつつあることを把握していた共和党の上院議員2人が所有株式を大量に売却していたことが分かり、インサイダー情報に基づいた取引だとの批判を浴びている。
問題の議員は、リチャード・バー(Richard Burr)氏とケリー・ロフラー(Kelly Loeffler)氏。いずれも、米株式市場が暴落する数週間前、ホワイトハウス(White House)が新型ウイルスの脅威を軽視する姿勢を示していたにもかかわらず、株式を売却していた。
上院議員であり、コロナ流行の危険性を事前にブリーフィングを受けていたケリー・ロフラー氏は、共和党がコロナ対策を軽視し、国民に過剰な対応は必要ないと説明する一方で、今年春から夏にかけて、新型コロナウイルスに関する政府情報を利用して関連株を売却し利益を得たと批判され、インサイダー取引の疑いで証券取引委員会や上院の調査を受けています。
こうしたことからロフラー氏は、共和党支持者の間でも苦戦している、というわけです。
この状況をひっくり返すのはほぼ不可能でしょう。
まあ、因果応報ですね。
ジョージア州のコロナ流行は11月から急増中
今回の大統領選挙で明らかになったことは、トランプ氏に投票した方が最も重要視した政策が経済政策であり、バイデン氏に投票した方が最も重要視した政策がコロナ対策だったということです。
上院決選投票でも、この傾向は変わらないでしょう。
それぞれの支持政党の固定支持層はもう変わらないので、あとは、それぞれの中道派からどれだけ得票率を得られるかの争奪戦になります。
これまで、さんざんバイデン氏が勝利すれば株価は大暴落すると煽られて、経済に強いトランプ氏というイメージで共和党は印象づけていましたが、大統領選後、バイデン氏勝利後も株価は大暴騰しておりますので、もはや、経済政策の違いで選挙に訴えるのは根拠が弱いでしょう。
ただし、現在、ジョージア州でのコロナ感染は激増中ですので、今後、コロナ対策を訴える民主党が優位になることは間違いないでしょう。
(2020/11/13)
11月に入ってからというもの、ジョージア州のコロナ感染者数は3,000人/日、死亡者数も20人/日を超えており、これは米国内でもかなり高い割合です。
このまま行くと、2020年1月5日までに少なくとも3,000人✕54日=162,000人以上の新規コロナウイルス感染者が増える計算です。
低温乾燥が進むにつれて感染者数が指数関数的に増えることを考慮すると、なんの対策も取られなければ、これ以上の数に登ることは間違いありません。
ジョージア州の人口が約1,000万人ですので、投票日までの予想感染者数はジョージア州の数%に登るものと推測されます。
感染者は、成人が多く、予防策に否定的な共和党支持者に多い傾向があると思われます。
民主党支持者がコロナに感染しても投票先は変わらないでしょうが、共和党支持者でコロナ感染した方、もしくはその家族の1割でも、選挙を棄権、ないし民主党候補に投票先を変えた場合には、全体として数%もの得票率の差が生じかねません。
そのため、今後のコロナ流行の状況により、選挙の趨勢は全くわからなくなることでしょう。
共和党はロックダウンできない
上記から、共和党としてはできるだけ今後のジョージア州の感染者数を抑えたいと考えますが、かといって、ロックダウンのような強い指示を出すことはできません。
現状のジョージア州は、部分的な閉鎖にとどまっています。
ロックダウンをしてしまった場合、これまで民主党を非難してきた根拠を失ってしまいます。
そのため、今後も、ジョージア州の感染者数は急増していくものと推測されます。
中道派共和党支持者の行方
今回、上院議員選挙では共和党を支持したけれど、大統領選挙はバイデン氏に投票した中道派共和党支持者が多数いたと考えられます。
shiro-mameshiba.hatenablog.com
このまま、トランプ氏が選挙無効を訴え、適切なコロナ対策を取らないまま決選投票を迎えれば、この中道派共和党支持者の離反は確実であり、共和党は2議席とも敗北、トリプルブルーとなることは十分可能性として考えられます。
その逆に、早々にトランプ氏を切り、適切なコロナ対策を指揮して上で、大統領はバイデン氏を歓迎するが、上院は共和党が過半数を握り、米国の手綱を共和党が握る、という選挙戦略を共和党が取れば、中道派の共和党支持者や、経済対策を好感する中道派民主党支持者からも広く支持を集めることができ、少なくても残り1議席は共和党が勝利し、上院過半数をキープすることでしょう。
共和党が、早々にトランプ氏を切り、適切なコロナ対策を取れるかが、この選挙の分かれ目となることでしょう。
むすびに
通常ならば、大統領選挙後、年末までは株価は上昇していく傾向が多いとされます。
しかし、トリプルブルー、FANGを始めとするハイテク企業の法人税上昇のリスクが高まれば、決選投票までハイテク企業を中心にじわじわ下がる可能性も十分にあります。
それにコロナ第3波も加われば、株価はまた一時的な調整をきたすかもしれませんね。
それならば、今後の戦略をどうしたら良いでしょうか?
一つは、12月8日の選挙集計があるでしょう。
共和党がトランプ氏を切るならば、その直前になると思われます。
もしトランプ氏を切るならば、決選投票で上院共和党過半数死守の可能性が高まり、その後の株価は上昇する可能性が高いと考えられます。
また、あくまでトランプ氏支持を共和党全体が押すのであれば、トリプルブルーの可能性が高まり、ハイテク株の急落のリスクが考えられますので、一旦はハイテク株を手放すことを検討する必要があるでしょう。
ただし、上院をどちらが抑えるとしても、決選投票が終われば不確実性が下がり、どちらにしても株価は長期的に上昇することは間違いないと思われます。
また、上院決選投票前で株価が下がるようであれば、そこが、今後4年間で最後の押し目になることでしょう。
どちらにしても、バイデン大統領が決定している今後4年間は、ICLNなどのグリーンエネルギー株の上昇が期待できますので、今のうちに仕込んでおくのが良いと考えます。