人工甘味料『アスパルテーム』に危険性はあるか?を米国株投資の視点から説明してみる

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人工甘味料アスパルテーム』について

  

人工甘味料アスパルテーム』をご存知ですか?

 

コカ・コーラ(KO)やペプシコ(PEP)の商品である『コカ・コーラ・ゼロ』や『ペプシJコーラ ゼロ(日本)』で使用されている人工甘味料です。

 

日本では、味の素が『パルスイート🄬カロリ-ゼロ』という商品で、砂糖の代用品として販売しています。

 

しかし、ペプシコ(PEP)は、2015年8月に、このアスパルテームを使用していた商品『ダイエットペプシ』を、一旦、販売中止にしました。(出典:日本経済新聞 2016年6月28日号

 

消費者の中に、人工甘味料アスパルテーム』対する危険性を懸念する声が高まり、健康志向に留意する消費者が増えていることが理由、だそうです。

 

はたして、この人工甘味料アスパルテーム』に危険性はあるのでしょうか

 

この点につきまして、今回、医学的な視点米国株投資の視点の2点からご説明したいと思います。(医学的視点は長いので、米国株投資の視点のみ読んでいただいても結構です。)

 

 

ちなみに、この2つの説明のどちらがより納得できたかによって、あなたの思考のタイプがわかります。

  

医学的な視点からの説明(長文です。読み飛ばし可

 

 結論から言うと、人工甘味料アスパルテーム』に、現時点で人体への明らかな健康上の有害事象は確認されていません

 

アスパルテーム』に対する健康上のリスクとして、大きく分けると、以下の4つがあげられます。

 

 ① 血糖値やインスリン分泌に影響するのではないか?

 ② メタノールが含まれているときくけれど危険性はないの?

 ③ がんになるのでは?

 ④ 遺伝子や催奇形性の心配は?

 

なお、参考文献は 医中誌より検索しました。

(Serch term;アスパルテーム,検索数;149件)

 

まず、アスパルテームとはなにか

 

アスパルテーム』は、そもそも糖質(炭水化物)ではありません

 

アスパルテーム』は、アスパラギン酸フェニルアラニンという、2つのアミノ酸が結合したものであり、いわば、たんぱく質の断片のようなものです。

 

体内で分解されると、これら2つのアミノ酸メタノールに分解されます。

 

このメタノールが体内で有害だとする意見がありますが(②)、アスパルテーム摂取により体内に発生するメタノールは、一般の食品である柑橘類やトマトを摂取した場合に比べるとはるかに少量です。

 

また、アスパラギン酸フェニルアラニンは、人体にとって有用なものであり、そもそも、通常の食事中にも大量に入っています

 

生まれつきフェニルアラニンを分解することができないフェニルケトン尿症という代謝疾患の場合を除いて、理論的にはアスパルテーム代謝産物は無害と考えられます。(人中甘味料アスパルテームは安全性に問題があるのか?治療増刊号 2006;88:818-9)

 

(余談ですが、フェニルケトン尿症アスパルテームを避けるというのは、数年前の小児科専門医試験でも出題されていました。しかし、フェニルケトン尿症では、アスパルテームだけでなくフェニルアラニンを含む、牛乳肉類等、通常の食品であるたんぱく質の多くを制限する必要があります。フェニルケトン尿症ではない方には無害ですし、一般の方にアスパルテームの危険性をことさら強調する必要性もありません。)

 

わが国では、食品衛生法施行規則アスパルテームは食品に添加してよい甘味料と規定されており、ほかの食品添加物と同様に急性毒性試験、亜急性毒性試験、慢性試験、繁殖試験、催奇形性試験(④)、発癌試験(③)、変異原性試験などの動物実験をクリアして認可されています。

 

アメリカでは、1970年代半ばにすでに、脳腫瘍とアスパルテームの関係について米国食品医薬品局(FDA)内部で協議されましたが、種々の動物実験のデータを踏まえて脳に障害を起こすという根拠がないと判断され、最終的に1981年に認可されています.

 

今の時点では、アスパルテームで脳腫瘍をはじめとする重篤な副作用が惹起されるとは考えられず、「安全性に問題がある」という「噂」は否定的と考えてよい、と結論付けています。

 

また、糖尿病患者にパルスイート🄬を用いた 臨床試験で、単独投与後の血糖および連続投与時の空腹時血糖上昇させないことや、3か月の長期投与によっても血糖コントロールと血中脂質に影響を与えないことが確認されています(①)。(糖尿病型および境界型の高血糖症例への「パルスイート」カロリーゼロ負荷が血糖値に及ぼす影響.臨床栄養 2005;106:503-8)

 

また、血糖値だけではなく,インスリン分泌にも有意な変動はみられなかったことが別の研究で報告されています。

 

ただし、パルスイート🄬負荷では、味の良い食品が咽頭部を通過するときにおこる神経反射性インスリン分泌であるcephalic phase insulin分泌により、負荷30分後にインスリン分泌のわずかな上昇が見られました。

 

しかしこれは、生理的な空腹時インスリン基準範囲(3~18μU/ml)であったことから、臨床的にそれほど強い分泌ではないと考えられました。(むしろ、糖尿病の血糖コントロールに有利に作用する可能性に言及されています。)

 

本研究では通常摂取量の3倍程度を単回で負荷しましたが、すべての対象者について、試験期間中に有害事象を含めて、試験食品が原因と考えられる臨床的な問題はみられませんでした

 

したがって、「パルスイート」カロリーゼロは、糖尿病患者の食事療法においてエネルギーコントロールに役立ち、血糖コントロールに有用な甘味料であることが示唆された、と結論付けています。

 

その他、渉猟した範囲では、人体に対する有害事象を報告した文献は確認されませんでした。

 

小児科領域では、てんかんGlut-1欠損症という疾患の治療に使われる『ケトン食療法』において、味付けのために、『パルスイート🄬』を使うことがあります。

 

経験的には、使用上問題になったことはありませんし、そういった報告も読んだことはありません。

 

結論

 

 人工甘味料アスパルテーム』に、

 現時点で、人体への明らかな健康上の有害事象は確認されていません。

 

ただし、『アスパルテーム』は、当然、甘いので食事がより美味しく感じてしまうため、より多くの食事摂取量をとってしまう可能性があり、そういう意味では、使用方法に注意が必要でしょう。

 

ただし、同量の砂糖の方が、よほど健康上のリスクがあると考えられます

 

以上で、医療的視点からみたアスパルテームの危険性についての説明はおしまいです。

 

FDA

 

以上の結論は、あくまで、2018年現在における医学的な見地からのものです。

 

医学の世界において、相反する結論が出るということは日常茶飯事です。

 

しかし、前出の知見を覆すことは、よりエビデンスレベルの高い論文の出現によってのみ可能となります。 しかし、FDAに安全性を宣言させた食品に異を唱えるなんて、生半可な反論じゃ太刀打ちできません。

 

どれくらい難しいかを説明すると『The LancetThe New England Journal of Medicineに掲載され、何十年も定説とされた論文に反論するようなもの、です。

 

つまり、めちゃくちゃ難しいのです。

 

陰謀論信じるか信じないかはあなた次第

 

ちなみに、FDAアスパルテーム関連会社が圧力をかけてアスパルテームの研究成果を歪めた、という陰謀論を唱える方がいますが、アスパルテーム関連会社よりも、当時の砂糖関連会社の方がはるかに力を持っていました。

 

当時の砂糖関連会社は、砂糖のシェアを奪われるかもしないという危機感から、様々なロビー活動ネガティブキャンペーンを行い、圧力をかけ、多額の金銭援助により『アスパルテームのリスク』を証明する研究が行われましたが、エビデンスの高い研究成果は出さず、結果的に、『アスパルテームの安全性をより高めることになりました

 

現在の、『アスパルテームのリスク』に対する主張の一因は、この時のネガティブキャンペーンの名残りと考えられています。

 

という噂がネット上に散見されますが、どちらも眉唾物です。

 

どちらも、都市伝説程度にとどめておいて、あくまで、エビデンスのある報告からのみ判断しましょう。(こういうのは嫌いではないですが・・・。)

 

米国株投資の視点からの説明

  

 世界最大規模の飲料メーカーであるコカ・コーラ(KO)とペプシコ(PEP)が、訴訟大国アメリカで、商品パッケージに、危険性を知らせる注意書きもなしに、全世界で販売する自社の主力商品の成分に、危険性の高い可能性のある物質を混入して販売し、莫大な賠償金を背負うリスクを負うと思いますか

 

以上です。

 

 

ちなみに、ペプシコ(PEP)が2015年アステルパーム入りコーラの製造をやめて以降、2016年1~3月期にダイエットペプシの店頭売上高は前年同期比で10.6%減りました。これには、世界的な炭酸飲料に対する消費低迷の影響も含まれますが、競合する米コカ・コーラの「ダイエットコーク」同時期の店頭売上高は5.7%減にとどまってました。(出典:日本経済新聞 2016年6月28日号

 

そのため、ペプシコは2016年6月27日、アスパルテーム入りのダイエットコーラ飲料を再導入することを決めました

 

あなたは『理論型』? それとも『感情型』?

 

さて、あなたはどちらの説明がより納得できましたか?

 

医学的視点からの説明が納得できる方は、『理論型』の思考タイプに当てはまります。

 

米国株投資の視点からの説明が納得できる方は、『感情型』の思考タイプに当てはまります。

  

自分の思考タイプを知っておくことで、相互理解に必要な方法が見つかるかもしれませんよ。

 

shiro-mameshiba.hatenablog.com

 

 

それでも『アスパルテーム』の危険性があると思う方へ

  

ちなみに、米国株投資をする方で、それでも『アスパルテーム』の危険性を信じるならばコカ・コーラ社(KO)とペプシコ(PEP)を全力で空売りしましょう。

 

投資には一貫性が必要です

 

幸運を祈ります。

 

むすびに

 

前述の『パルスイート🄬カロリ-ゼロ』ですが、当家でもよく料理に使います。

 

砂糖とは異なる甘味ですので、好き嫌いが分かれるかと思いますが、お勧め料理は『豚の生姜焼き』と『かぼちゃの煮物』です。

 

コツは、使用方法には体積比で砂糖の1/3使用すると書かれていますが、砂糖の2/3~同量を使うことです。

 

熱が加わったり、醤油と合わさると、アスパルテームの甘味が少し感じにくくなるからです。

 

砂糖にはない照りも出るので、より美味しく感じるかと思います。

 

同量の砂糖を使うよりは、現時点では、健康に良いと思いますよ。

 

 

(COI開示事項:shiro-mameshibaやその親族、その他所属機構を含めて、アスパルテーム関連会社からの資金提供は一切ありません。また、shiro-mameshibaはコカ・コーラ(KO)とペプシコ(PEP)に個別株投資はしておりません。一応、念のため・・・。)

 

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