人生を左右する、『能力』よりももっと大切なもの

f:id:shiro-mameshiba:20180826114210j:plain

 

こんにちは。

 

今回は、私が小児科医になってから最も役に立った本である『子育てハッピーアドバイス』から、自尊心の育て方についてのお話です。

 

この本を読んでもらいたいのは、子育てをする方だけではありません。

 

婚活を考えている人、医師になりたい人、そしてなにより、人生に漠然とした不安や不満を感じている人(投資をする人の中にしばしば見られます)にこそ読んでいただきたい人生の道標です。

 

 

自尊心とは何か

 

私、shiro-mameshibaは小児科医です。

 

仕事柄、学校や家庭に適応ができずに、心が疲れてしまったお子さんたちを見る機会がしばしばあります。

 

そんなお子さんたちに行う心理検査の一つに、『バウムテスト』があります。

 

バウムテスト

 

バウムテストとは、紙と鉛筆で、用紙に一本の木の絵を描いてもらうことで、そのお子さんの心の内面を判断することを目標に作られた検査です。木の形態や全体の印象から、その子の内面を推測することができるとされています。(古い本ですが、ブギーポップ・リターンズVSイマジネーターPart.1 (電撃文庫)のネタ元と思われます。)

 

不適応を起こしてしまい、心が疲れてしまっているお子さんたちの中には、概して、学校で求められる学力や運動能力が高い方が多くいます。

 

その子たちが描く『木の絵』は、葉が少なく、全体的に枝を伸ばしていていることもあるけれども枝先が尖っており、木の幹が細く、根が小さいか欠けていて、幹が地面と接続していないことさえあり、それでいて枝には大きな果実をつけていてバランスが悪く、今にも倒れそうな、もろくて寂しく荒涼とした木であることが多いです。

 

この幹や根にあたる部分が、『自尊心』と呼ばれるものです。

 

つまり、この子たちは、自尊心が失われた状態になってしまっているのです。

 

充実した人生を送るのに必要なものは、『能力』よりも『自尊心』だと言えます。

 

それでは、この自尊心は、どこからきて、どうやって育っていくものなのでしょうか

 

この『子育てハッピーアドバイス』という本は、この点についてとても分かりやすく説明してくれる本です。


つまり、子育ての本ではなく、自尊心の育て方の本なのです。

 

自尊心は、親からの贈り物

 

結論から言うと、自尊心は、親からの贈り物です。

 

生後間もなくから、赤ちゃんたちは、あやし笑いをしたり、おなかがすいたりして啼泣することで『自分の要求で親が動いてくれる』ことを学びます。

 

やがて、目や耳が効いてくる乳児期になると、自分が笑うことで親が笑い、自分が泣くことで親が心配することを経験し、『共感性』を身に着けることができます。

 

この、最も身近な養育者である親を一心同体のように、『共感』し、『自分の思うとおりに親が動いてくれる』という万能感の中で生まれてくるのが『自尊心』です。

 

その最も発露する時期が、いわゆる『イヤイヤ期』と呼ばれる2~3才の頃です。

 

この時期に、十分に『甘え』させてもらうことで、ありのままの自分を受け入れてくれた、自分はこのままここにいていいんだという実感が、こどもの『自尊心』を育てます。

 

つまり、この時期までに十分に甘えさせてもらえなかった(泣いているのに心配してくれない、笑っているのに微笑み返してくれない(共感してもらえなかった)、泣いているのに放置される、笑っているのに遊んでくれない(親が自分の思うとおりに動いてくれなかった))場合には、『自尊心』が育たないまま、大人になってしまいます

 

そして、そんな状態のまま大人になってしまった方が、特にこの日本ではとても多く存在します(心理学的用語でにadult-childrenと呼びます。)。

 

そして、その大人たちは、自分の寂しさやイライラがどこから来るのかを生涯知らないまま、自分の人生に満足感を得られないことに苛立ちながら生きていくことになります。

 

『甘え』と『甘やかし』

 

 ここで、多くの方が、「子どもの要求に全部答えてなどいられない、甘やかしてばかりではダメな子になるだろう」、と仰ると思います。

 

それは、その通りだと思います。

 

こどもの『物理的な』要求に対しては、すべてに答えることは『甘やかし』といいます。

 

それに対して、子供の『情緒的な』要求に答えるのが『甘え』させてあげる、ということです。

 

つまり、子どもが寂しい、悲しい時には抱っこをして慰めてあげ、楽しい、うれしい時には、一緒に笑って喜んであげることが『甘え』させてあげる子育てなのです。

 

それに対して、おもちゃが欲しい、~~に行きたいという『物理的な』要求に対して、なんでも答えてしまうことが『甘やかし』の子育てであり、あまり良くないというわけです。

 

この『甘え』と『甘やかし』の混同が、子育ての中で多く見られます。

 

こども時代に、十分に『甘え』させてもらった経験が、『自尊心』を育てるのです。

 

逆に、『甘やかし』だけをされて『甘え』ることを知らずに育てられた子供は、共感してもらえた経験がないために、共感性がかけたまま育つことになり、他者の気持ちがわからず、己の不安を隠すために自我が肥大し、ナルシズムを増大させ、他者の存在を『能力や地位、経済面』でしか認められず、他者を否定し攻撃する性格傾向を持つようになります。(政治家や実業家の中にその傾向を持つ方が多いです。この傾向を持つ人は、同じ性格傾向を持つ人を見ると安心しますが、それは共感ではありません。似た者同士であれば、自分の低い『自尊心』の根源を見なくて済むから、安心するだけです。)

 

こども時代に、十分に『甘え』させられなかった子どもは、『自尊心』が育ちません。

 

これは、『甘える』子育てが否定されてきた、従来の日本全体が抱える病理です。

 

子育てハッピーアドバイス』を読んだきっかけ

 

私は、小児科医を志望したときに、(当然ですが)子育ての経験もなく、周りに小さな子供がいる環境でもありませんでした。

 

そのため、病気については親御さんたちに教えてあげることはできても、子育てについては、恥ずかしながら何も教えてあげることができませんでした。

 

そこで、子育ての本を調べている時に見つけたのがこの本でした。

 

この本を読んだ時、正直な感想として、自分はこの本に書かれていることを否定したい気分になりました。

 

なぜかというと、自分がこんな風に子育てをされてこなかったので、とても怖くて、不快になったからです。

 

私の親は、決して悪い人間ではありませんでした。(過剰な)暴力や虐待をされたこともありません。

 

むしろ、しっかりと社会人として定年まで働き続けてくれ、子どもの頃から6年間の大学生活までずっと金銭的支援をしてくれて、大学も就職も県外にすることを許してくれたその献身性には、 感謝してもしきれません。

 

しかし、こどもは『甘え』させるとダメになる、という養育方針の親でした。

 

私が、悲しくて泣いている時には泣き止むまで放置する、楽しくて笑っている時には「静かにしろ」と怒る子育て方針でした。

 

悪気はなく、それが良い子育てだと、そう信じていたからなのだと思います。

 

思えば、子供時代から社会人になるまで、私は常に、孤独と不安をもっていました。


どれだけ学校でよい点数をとっても、運動で成績を残しても、大学に卒業しても、医師になってからも、それは変わりませんでした。

 

この本を読んで、その理由がようやくわかりました。

 

私は、『自尊心』がとても低かったのです。

 

それを知ったとき、とても怖く、同時に、安堵感も感じました。

 

子どもの頃から、自分がずっと寂しかったのは、このせいだったんだ、と知ることができたからです。

 

大人になってからでも『自尊心』は育てられる

 

あなた自身』と『重要な他者

 

子どもの時に『自尊心』が十分に育ってこなかった人でも、心配はいりません。

 

大人になってからでも、自尊心は育てることができます

 

それは、両親からではありません。

 

今度、あなたの中の『自尊心』を育ててくれるのは、『あなた自身』と『重要な他者』です。

 

重要な他者』とは、恋人や配偶者であることが多いですが、友人や自分の子供であったりします。

 

大人の『自尊心』の育て方

 

『自尊心』の育て方は、子供の時と同じです。

 

あなたの中にいる、『甘え』られなかった子ども(心理学用語でインナーチャイルド inner-childと言います。)を、十分に『甘え』させてあげればよいのです。

 

『悲しい』感情を、いまは悲しんでいいんだよ、と共感して肯定してあげる。

 

『嬉しい』感情を、あなたは楽しんでいい人なんだよ、と笑って肯定してあげる。

 

感情を、肯定してあげる

 

『自尊心』の低い人は、子どもの時にはから、大きくなってからは自分自身から、感情を否定されて生きていくことが、心の癖としてしみついてしまっています。

 

それは、容易なことでは変わりません。

 

心の癖を変えるには、その存在を知り、認めてあげ、そのクセが身についてしまった自分を許してあげて、少しずつでも変わっていこう、という意識があって初めて可能となります。

 

しかし、『自尊心』の低い人の中には、その心の癖自体を認めてあげることができない方が多くいます(私のように)。


『自尊心』が低いため、これ以上自分を責めることにつながりそうな、両親の子育てを否定することが困難だからです。

 

自分の育てられ方を直視できず、それ以外の育てられ方があったかもしれないことを認められずに、自分を嫌いなまま生きていくのです。

 

それは、とてもつらく、寂しい生き方だと思います。

 

今からでも、自分を『甘え』させてあげよう

 

一つ覚えていてほしい言葉があります。

 

幸せになるのに、だれの許可もいらない

 

 

経済的な側面やマウンティングのためではなく、『重要な他者』である恋人や配偶者に、今のままのあなたを認めてもらい、感情を肯定してもらって、お互いに『自尊心』を育てあうことができれば、それは理想的な関係だと思います。

 

想像してみて、それが幸せだと感じる人は、恋活や婚活をしてみてもよいと思います。

 

しかし、それをしなくても構いません

 

幸せになるのには、だれの許可もいらないし、誰かがいなくては幸せになれないわけでもありません

 

あなた自身』が、あなたを認め、肯定してあげることができるなら、あなたは一人でも幸せになれます

 

それもまた、決して間違いではありません


誰にも否定されるものではなく、否定されてはならない尊い生き方です。

 

どちらの幸せをより自分が望むか、あなたが自分で選んでよいのです。

 

大人の『甘やかし』

 

しかし子どもの時と同じように、『物理的に』自分を『甘やかす』ことがメインになってはいけません。

 

いわゆる、自分へのご褒美というものです。

 

それでは、いくらやっても『自尊心』は育ちません。満たされません。

 

むしろ、散財したあげくに、ますます自分のことが嫌いになってしまい、『自尊心』が失われてしまいます。不安や孤独が襲ってくる生き方です。

 

人生を変える

 

自分の心の『物理的な』要求ではなく、『情緒的な』求めに耳を傾け、自分の中にいる子供のころの自分を抱っこしてあげて、よしよし、よく頑張ったね、と頭をなでてあげるイメージが最も良いです。

 

自分の感情を肯定できるようになれれば、自分の人生を尊いものだと理解し、自分の心の要求を外の世界にも求められる人に変わることができます。

 

生き方を変えることができます。 

 

そして、自分を認められて初めて、他人の人生を肯定できるようになれるのです。

 

これは、人生の中でいくつになってからでも遅くはありません。

 

株式投資よりも婚活よりも、安価で最短の、リターンが確実な投資です

 

子育てハッピーアドバイス』は、いまならamazonの中古で1円で購入できます。

 

中は絵本形式ですし、1時間もあれば簡単に読破可能です。

 

それだけで、 あなたの人生が大きく変わる可能性があります。

 

株式投資よりも婚活よりも、安価で最短の、リターンが確実な投資です。

 

私が、この本に出会ってから、自分の人生を認めてあげて、心から楽しいと思えるようになるまで、おおよそ10年がかかりました。

 

なにか、自分の中で能力や出来ることが変わったわけではありません。

 

しかし、今は本当に生きているのが嬉しいと、心から思えるようになりました。

 

それは、他者に誇るようなものではなく、自分の中の小さな満足感にしかすぎませんが、自分にはそれだけで十分です。

 

かつての自分のように、自分の人生に迷いを感じ、寂しさや孤独を感じるている方には、ぜひ一度読んでみてほしいなと思います。

 

(個人的には、なぜ必修化されたよくわからない道徳の授業なんかよりも、この本を小学生に読ませた方がよっぽど有意義だし、少子化対策にもなると思います・・・。)