投資と、幸せホルモンの、意外な関係。

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こんにちは、shiro-mameshibaです。

 

幸せホルモンとも呼ばれるオキシトシンというホルモンをご存知ですか?

 

今回、引っ越しついでに資料の断捨離をしていたところ、投資とこの幸せホルモンについての興味深い文献を発見しましたので、紹介します。

オキシトシンスプレー投与で、投資の不安感が軽減する

 

ちょっと古いstudyですが、2005年にオキシトシンスプレーによる投資への影響を調べた研究を紹介した文献です。

 

オキシトシンの単回投与によるヒトでの研究


 オキシトシンの投与により,人は信頼を増すという衝撃的な結果が2005年に出された.スイス工科大学の健康な男子学生200人弱を点鼻薬の形状をもつオキシトシン投与と偽薬投与群に分け,ゲームの理論に基づいた神経経済学的実験を行った.ゲームの中のお金を持つ投資家と,お金を運用する立場の信託者に分け(4群),それぞれ異なる利殖率による返金を受けるゲームを行った.その結果,オキシトシン投与群では相手への信頼・信用が増し,全額に近いお金を運用に預ける傾向を示した.ヒトで不安や恐怖に関与すると考えられる脳部位での脳イメージ測定から,オキシトシンが先(将来)に対する不安や恐怖を増加させない効果があると考えられた.

 

東田 陽博 ら. 自閉症オキシトシン、CD38の関連について. 脳と発達 2013; 45:31-35.

 

この通り、オキシトシンを投与された群では、将来への不安感が軽減され、よりリスクを取る投資活動を行う傾向にあることが紹介されています。

 

 

より適切にリスク取る投資ができるということは、結果的により高いリターンを取ることができると考えられます。

 

また、対人的な不安感が軽減するため人見知りをしなくなり、人への信頼感も増しますので、より良好な人間関係を構築できるとも考えられます。

 

即ち、もともとオキシトシン感受性の高い幸せを感じやすい恵まれた人は、金銭的にも人間関係でもより充実するため、もともと不安症な人よりも、さらに幸せな人生を送ることができる、ということなのかもしれません。

 

まったく、羨ましいものです(笑)。

 

オキシトシン補充療法の効果

 

なお、もともとの上記文献の本来の主旨は、自閉症患者に対するオキシトシンスプレーの効果を調べるというものでした。

 

自閉症患者の中には、オキシトシン分泌を制御するCD38遺伝子の働きが弱いと考えられる一群が存在するため、オキシトシン補充による効果が見られるかを調べたところ、自閉症の症状の一部軽減が見られた、との結論でした。

 

また、この自閉症へのオキシトシンスプレーは2018年に国内で医師主導治験が実証され、自閉症症状の一部に効果が確認されています。

 

むすびに

 

オキシトシンは、もちろん投資のときだけではなく(笑)、恋愛中授乳の際にも分泌され、多幸感に作用するとされています。

 

そのため、欧州では、授乳中にこの働きが弱い方に対しての授乳促進が適応となっています。

 

 

また、幸せホルモンの名前の通り、オキシトシンは、不安軽減幸福感を感じやすくなる作用があると考えられています。

 

そのため、自閉症とまでは行かなくても、対人関係の不安感や困難感にも効果があるのではないか、という期待があり、米国では一般市販もされている薬品のようです。

 

 

今回の治験では、残念ながら、そこまで明らかな効果は見られなかったようですが、対人関係で悩み、生きづらさを感じている人にとって、オキシトシン補充療法が福音となるような研究結果が、今後出てくることが期待されますね。

 

 

(※オキシトシンは、現時点で日本国内で効果や安全性が確認されておりません。この記事は、現時点では、健常な方にオキシトシン補充療法を推奨するものではありません。)